
ビジネスアーキテクトのためのPega Expressコアベストプラクティス
20のPega Express™ベストプラクティスのうち、7つはPegaビジネスアーキテクト(BA)としての業務の中核をなすものとして特定されています。 Pega固有のベストプラクティスと業界標準のベストプラクティスを組み合わせたの7つのベストプラクティスは、次のとおりです。
- ビジネス成果
- ビジネス価値
- Microjourney®
- Minimum Lovable Product
- Directly Capture Objectives(DCO)
- 再利用戦略
- スクラム
このトピックでは、Pega Expressにおけるこれら7つのベストプラクティスの詳細を確認します。
ビジネス成果
ビジネス成果とは、Pega Platform™で構築されたアプリケーションで達成するように設計された重要で価値の高いビジネス目標のことをいいます。 ビジネス成果としては、たとえば以下のものが考えられます。
- 新しい売上の目標
- 顧客維持の目標
- 効率性の目標
Pegaアプリケーションの主要で戦略的なビジネス成果を特定して設定することで、ビジネスプロセス変革プログラムの方向性が示され、すべての要素がクライアント組織とエンドカスタマーのニーズの達成に貢献するようになります。
補足: ベストプラクティスとしてのビジネス成果の詳細については、「Pega Expressのベストプラクティス:ビジネス成果」を参照してください。
ビジネス価値
ビジネス価値のベストプラクティスは、ビジネス上の理由とビジネスケースをサポートする準備を徹底して、組織が戦略的成果を達成できるようにすることです。
Pega BAとして、ビジネスケースを理解することは、次のような多くの目的に役立ちます。
- 提案されたソリューションが確実にビジネス成果を達成できるように、スコープの優先順位付けを行う。
- Pegaソリューションが達成するターゲットの主要業績評価指標(KPI)を確立する。
- ベースラインモデルとターゲットモデルを使用して、投資利益率(ROI)を計算する。
プロジェクトのビジネス価値を確立することで、ビジネスチームとITチームの間の橋渡しとして、プロジェクト全体を通じてビジネスチームと優先順位付けに関して話し合う際の参考になります。
補足: ベストプラクティスとしてのビジネス成果の詳細については、「Pega Expressのベストプラクティス:ビジネス成果」を参照してください。
Pegaビジネスアーキテクトのためのビジネス成果とビジネス価値のための実践的なアプリケーション
Pegaビジネスアーキテクトは、プロダクトオーナーと協力して、プロジェクトの重要な戦略的ビジネス成果を理解し、ビジネスプロセスの変革の方向性を示します。 プロジェクトを進める際には、プロジェクトのビジネスケースを理解することで、各機能が提供するビジネス価値に基づいて、ビジネスチームのステークホルダーと機能の優先順位付けに関して話し合う際の指針となります。
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Microjourney
Microjourneyの概念は、Pega Expressデリバリーアプローチの基本であり、大規模なカスタマージャーニーの複雑性を、すばやくデリバリーできる小さなジャーニーに分解し、ビジネスプロセスの再設計から価値創出までのスピードを高めます。
Microjourneyを特定するには、アプリケーションのエンドユーザーにとってのエンドツーエンドのエクスペリエンスを検討する必要があります。 この演習では、プロジェクトチームが短期間で本番環境に投入できる、全体的なジャーニーにおける段階的な機能を特定し、クライアント組織とその顧客にただちに価値を創出します。
たとえば、次の画像では、自動車業界のサービスジャーニー(GoGoRoad社にロードサイドアシスタンスを依頼する)を、Microjourneyに分解して示しています。
補足: ベストプラクティスとしてのMicrojourneyの詳細については、「Pega Expressのベストプラクティス:Microjourney」を参照してください。
Minimum Lovable Product
Pega Expressデリバリーアプローチでは、アプリケーションの変更を、Minimum Lovable Product(MLP)ソフトウェアリリースにバンドルすることが推奨されています。 プロジェクトで1つ以上のMLPリリースを連続して行うと、ビジネスプロセスの再設計における変革のロードマップが形成されます。
各MLPは、実行可能なだけでなく、エンドユーザーが進んで取り入れるソリューションです。 次の図に示すように、MLPパッケージを使用すると、すぐに成果が出るとともに、顧客満足度を高め、ビジネスを支援することもできます。これにより、クライアント組織の価値実現までの時間を短縮できます。
補足: ベストプラクティスとしてのMLPの詳細については、「Pega Expressのベストプラクティス:Minimum Lovable Product(MLP)」を参照してください。
PegaビジネスアーキテクトのためのMicrojourneyとMLPの実践的なアプリケーション
ビジネスアーキテクトとして、MicrojourneyとMLP構造の概念を使用して、開発プロセスの複雑性を段階的なデリバリーに分解し、アプリケーションのデリバリーと関連する価値の両方を達成する確実性を高めます。 これにより、アプリケーションのデリバリープロセスが管理しやすく、変更に対応できるようになります。 ビジネスチームとITチームのステークホルダーは、ロードマップ上の各MLPが実装されるにつれて、収集された学習とインサイトを考慮し、適用できます。
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Directly Capture Objectives(DCO)
Directly Capture Objectives(DCO)は、Pegaプロジェクトの継続的なコラボレーション、反復、検証を行うPegaのメソッドです。 DCOにより、ステークホルダー間の調整が促され、ビジネスチームとITチームの間で質の高いエンゲージメントを図れます。 次の図に示すように、DCOは継続的なコラボレーション、反復、および検証によって推進されるメソッドです。
DCOのディスカッションでは、以下に重点を置きます。
- アプリケーションの設計と開発
- ビジネス成果の達成
- 人間中心の設計
- ビジネス価値をより短時間で実現するための反復
Pegaが提供する可視化ツールを使用することで、DCOは、ビジネスステークホルダーが実践や体験の観点からアプリケーションを理解するうえで役立ちます。
補足: DCOのディスカッションをサポートする資料は、Pega Expressツールキットに用意されています。 詳細については、「Pega Expressツールキット」を参照してください。
ビジネスアーキテクトとして、DCOをプロジェクトに組み込むことは、誤解を減らし、アプリケーション開発プロセスに沿ってビジネスや機能のギャップが多数発見されるリスクを最小限に抑えるために不可欠です。
補足: ベストプラクティスとしてのDCOの詳細については、「Pega Expressのベストプラクティス:Directly Capture Objectives(DCO)」を参照してください。
再利用戦略
再利用は、企業の長期的なロードマップ、規模、ニーズを考慮してアプリケーションを設計および設定するための戦略的ベストプラクティスです。
再利用により、特定のビジネスニーズに対応するためにすばやく拡張できるアプリケーションを迅速に実装でき、同時にユーザーエクスペリエンスの一貫性を高めることができます。
Situational Layer Cakeのアイデアに集約されたPegaの再利用アプローチは、最も特殊化されたものから最も特殊化されていないものまで、以下のレイヤーで構成されています。
- イノベーションアプリケーションレイヤー:特定の事業部門またはローカライズされた地域向けに構築されたアプリケーションに関連するルールを保持する
- ビジネスアプリケーションレイヤー:組織の個々の事業部門に関連付けられたルールを保持する
- モジュラーアプリケーションレイヤー:ビジネスアプリケーションとイノベーションアプリケーション全体で再利用できるすべてのルールを保持する
- エンタープライズレイヤー:企業全体のすべてのアプリケーションに共通のルールを保持する
- Pega Platformレイヤー:Pega Platformのすべてのルールパッケージで構成される
次の画像で「+」アイコンをクリックすると、再利用に対するPegaのSituational Layer Cakeアプローチの詳細が表示されます。
補足: ベストプラクティスとしての再利用戦略の詳細については、「Pega Express best practice: Reuse strategy」、「Pega Express Bytes: The power of Modular Reuse」、「Modular Enterprise Reuse Foundation」、「Modular-based reuse in action: Advanced topics on enterprise reuse for BA's」、「Modular Business Architecture template」を参照してください。
PegaビジネスアーキテクトのためのDCOおよび再利用戦略の実践的なアプリケーション
ビジネスアーキテクトは、DCOを利用して、ビジネスチームとITチームのステークホルダー間で質の高いエンゲージメントを構築します。 アプリケーション設計の初期段階では、まず、プロジェクトのエンタープライズレイヤー、モジュールレイヤー、アプリケーションレイヤーを定義します。 次に、ITチームと協力して、組織の再利用可能なアセットを設計します。 設計プロセス開始時に企業が再利用することを計画すると、組織への投資に大きな利益をもたらし、プロジェクトの価値実現までのスピードが向上します。
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スクラム
スクラムは、Pega Expressのデリバリーアプローチの基礎となる部分です。 スクラムは、ビジネスチームとITチームのステークホルダーが協力し、透明性を高めてクライアントに適切な結果を達成できるようにし、デプロイメント時に想定外の事態が発生しないことを保証します。
スクラムはアジャイル開発の一形態で、プロジェクトの特定の役割、責任、イベント、成果物、プロセスを定義します。 これには、プロダクトオーナー(PO)、プロジェクトデリバリーリード(PDL)、スクラムマスターなどのリーダーの役割が関与し、プロジェクトをスプリントと呼ばれるタイムボックス化された開発サイクルに分割し、ユーザーストーリーに分割されたプロジェクトバックログを管理する必要があります。
スプリントイベントとスクラムイベント
スプリントとは、ワークのタイムボックス化されたサイクルで、最大4週間の期間でチームが成果物を作成します。 スプリントの長さはプロジェクト全体で一定しており、スプリントが終了すると、次のスプリントが開始し、新しいインクリメントが追加されます。 各スプリント内で複数のスクラムイベントが発生します。 各スクラムイベントでは、チームが作成した成果物を点検して調整できます。
スクラムイベントに含まれる事項は次のとおりです。
- ストーリーリファインメントと見積もり:ユーザーストーリーの長さと完全性を確認する時間を提供。
- スプリント計画:プロダクトオーナー、プロジェクトデリバリーリード、スクラムマスターによる現在のスプリントのユーザーストーリーに対する優先順位付けが可能。
- デイリースクラム:スクラムマスターがミーティングを開き、プロジェクトチームの指定メンバーが進捗状況ついて話し合えるよう、毎日実施。
- スプリントレビュー:現在のスプリントで作成した成果物を確認する機会をプロジェクトチームの指定メンバーに提供
- スプリントレトロスペクティブ – 現在のスプリントにおける成功点または改善点に基づき、次回のスプリントにおける変更点についてフィードバックを共有する機会をプロジェクトチームに提供。
ビジネスアーキテクトとして、デイリースクラムを含むすべてのスクラムイベントに積極的に参加します。
ストーリーリファインメントと見積もり
ストーリーリファインメントと見積もりのセッションは頻繁に行います。 ストーリーリファインメントと見積もりのミーティング中にチームで行うことは次のとおりです。
- ITチームが見積もりの準備ができているユーザーストーリーを理解したこと、ユーザーストーリーが準備完了の定義(DoR、ストーリー完了の判断基準)に該当することを確認します。
- 開発チームが、ユーザーストーリーが設定された完了の定義(DoD、ストーリー開発完了の判断基準)に該当するよう構成し、実際に該当するかどうかをテストするために必要な作業量(サイズ)を判断できるようにします。
- スクラムマスターが次回のスプリント計画セッションでストーリーを検討できるように、ストーリーポイント(小さい = 1、非常に大きい = 13)を使用してストーリーのサイズを設定します。
補足: スクラムをサポートする資料は、Pega Expressツールキットに用意されています。 Pega Express ツールキットの詳細については、「Pega Express ツールキット」を参照してください。 ベストプラクティスとしてのスクラムの詳細については、「Pega Expressのベストプラクティス:スクラム」を参照してください。
Pegaビジネスアーキテクトのためのスクラムの実践的なアプリケーション
ビジネスプロジェクトチームとITプロジェクトチームの接点で活動し、プロジェクト期間中に多くのスクラムイベントに積極的に参加します。 スクラムイベント中に伝えられる情報により、ビジネスチームとITチーム両方の支援者として、さまざまなタイミングで行動できます。 たとえば、ストーリーリファインメントと見積もりのスクラムイベントに積極的に参加し、DCOセッションの一環として作成したユーザーストーリーを確定します。 ユーザーストーリーが確定したら、それをプロジェクトバックログに追加し、今後のスプリントでITチームが開発およびテストできるようにします。
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